insomnia

主にジャンルの偏った本の感想

BUTTER

バターのように密度がたっぷりの

どろどろのお話でした。

胃が重い。

 

 

『BUTTER』柚木麻子(新潮社)

 

敏腕女性記者・里香が

連続不審死事件の被告人・梶井を

料理を通して心をかよわせていき、

やがて訪れる真実や結末に震える。

って感じなのかな。

 

とにかく長かった。

二日かけて読んだ。

ラストは読んでも読んでも終わらなかった。

 

もともとあった事件を参考に

お話を書いたそうだが

女性にまつわる現代の問題が

詰め込まれすぎて、怖かったぁ。

家事、出産、子育て、ダイエット、

離婚、仕事、友人関係…

ありとあらゆる問題を

いろんな女性に提起させてたような感じ。

 

梶井みたいな人っているよね。

美人でも、スタイルがいいわけでもないけど、

真っ先に目に入って、

女子から嫌われる人っていうのが。

でも、梶井が言ってたことって

男をうまく操るには本当に必要な技術で。

包容力とか、特に料理なんて。

言葉がうまいのもいい。

肌が綺麗とか、髪が綺麗なんてのも重要で。

あと、『花魁さんと書道ガール』の時も

思ったけど、字のうまさとか。

必要だよ、これは女の努力が必要。

それをちゃんと自分の武器にしてる人が

努力してない人にああだこうだ

言われるのはむかつくよねえ。

自分より男をうまく操れないくせに、

体型のことはご立派に攻めるんだから

そりゃあ女嫌いになるよね。

私も体型はコンプレックスあるし。

 

里佳や伶子は梶井に振り回された

ところもあるけど、

最後には自分の適量をはかって

ちゃんと自分の足で立っててよかった。

ご飯って大事。

これ、私が人生で一番見た映画

サマーウォーズ』でも言ってるけど、

とりあえず、みんなでご飯食べるんだよね。

食に関心を持つことって、

本当に人生を豊かにすると思う。

正直私はバターが苦手だから、

序盤に出てきたバター醤油ご飯なんて

どんなに頼まれても絶対やらないと思うけど。

お菓子作りは大好きだから、

作って誰かと食べる、食べてもらうって

なんかすごいエネルギーになる気がする。

まあやっぱり見栄は張りたいから

おいしいって言ってもらいたいし、

見た目も派手なのを作ってしまうけど。

結局褒めてもらいたいんだよおおお。

すごいね、ってやっぱり言われたい。

家事とか当たり前なのかもしれないけど、

やっぱりちゃんと言葉で

がんばってるね、とかすごいよ、とか

言ってほしいんだよねええええええええ。

 

伶子ちゃんのところは、

ほんと、ずっとそう思ってた。

頑張りすぎな彼女を抱きしめて

いいこいいこ~ってしてあげたかった。

伶子ちゃん、犬、どうしたんだろう…

篠井さんマンション売却したって

書いてあったけど、

おうちに連れてったのかな…?

 

はぁ、なんか最後も結局梶井の

思い通りに人が傷ついていったけど

ご飯が繋いでくれたというか。

里佳の周りには、梶井と違って

そういう時に頼れる人がいて

少しずつ立ち直れてよかった。

 

 

今回の作品はほんとご飯描写がずるい。

ほんとみんな想像で涎出てきそうなくらい

おいしそうな表現ばっかり!!!!

カトルカールってようは

パウンドケーキのことなのに

ぁああああ食べたい!!!!!

午前3時から4時に食べる塩バタラーメンとか!

あと新潟での乳搾り!ホットミルク!

やってみたいいいいいいいい。

バターなんて違いを意識しなかったけど、

いろいろ試してみたいなぁあ。

バターほんと高いから、お菓子作るなら

バターのいらいないシフォンケーキが

作りやすいんだけど、

たまにはね!バターをぜいたくに使った

焼き菓子を作りたくなったぁあああ。

最後の七面鳥も、やれないけど

ほんと、里佳の成長がすごくて。

いやー和風の七面鳥せいろ。

絶対うまいだろー。あああああ。

 

ほんとご飯の描写うまいわ。

『ランチのアッコちゃん』でもそうだったけど。

本編が動くまでが長すぎて

誠と里佳がバレンタインうまくいくまでが

全項の半分もいってなくて

この先いったい何があるの!?と思いながら

二日間いろんな気持ちになりながら

読了しました。

元になった事件のことも、

もうちょっと調べてみたいなぁ。

参考文献に載ってたやつ読みたい。

神田酪農…いつか行ってみたいな。

 

 

そんなわけで『BUTTER』でした。

はあ~感想を共有したい。

一人で書いても全然まとまらない。

おいしい話は特に。

ああああおいしいごはん食べたいよお!